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延寿の母のがん闘病記

私(延寿)の両親は、私が37歳のときに二人ともほぼ時を同じくして亡くなりました。

あれは、私が薬業界に入って間もない25歳の時でした・・・。

突然、父が脳内出血で倒れたのです。

それから12年間、父はほとんど寝たきりとなり、母がパートをしなが看病を続けていました。

そして、そんな生活が続いた8年目の時でした・・・。

パートの仕事と長年の看病疲れが重なったのか、母が「胃ガン」になったのです。

悩んだ末の決断

私は、担当医から母が「胃がん」であることを伝えられました。

悩みました・・・

しかし、私は母に胃がんであることを「宣告しない」と決断しました。

母は、性格的に弱いところがあるので「胃にカビができている」と話し入院させました。

そして、寝たきりの父にも母の胃がんのことは伝えませんでした。

そのとき既に、「余命6ヶ月」と宣告されていたのです。

2ヶ月で退院

兄弟の間では、「あせらず、毎日を大切にして、自然体でいこう」と決めたのでした。

しかし、母は2カ月で退院となりました。

当時にはもうこの職業についてましたから、私は必死で色々な漢方薬や健康食品を飲ませました。

当時は現在のような確かな情報も乏しく、とにかく試行錯誤でしたが想いが通じたのです。

結婚

そんな状況でしたので、実際に何が功を奏したのか定かではありませんでしたが、余命6カ月と宣告されたにもかかわらず、母親は元気になりパート(短時間)にまで行けるようになったのです。

母は元気になって万々歳なのですが、そのころの私の一番の悩みは「結婚」でした。

私は3人兄弟で姉は嫁いでおり、当時は父と母と弟と私の4人家族でした。

父が寝たきりの状態でしたので、父の代わりは私がやっていました。

父と母のこと、そして弟のこと、そして自分の年齢のことなど考え毎日悩み続けました。

悩み続けた結果、「一歩前に踏み出さないと何も変わらない!」

「何かあったときは、しっかり受け止めて考えればいい!」

と自分に言い聞かせ、結婚を決意しました。

手狭な家で同居もできず、当初はやはり心配で毎日電話をしたり家にも通っていました。

しかし、結婚したことを後悔はしていません。

結婚したことによって、今の自分と両親の血を引き継ぐ家族があるのですから。

再入院

それから1年後、母の調子が再び悪くなってきました。

母には「カビの病気の再発」ということを話しました。

病院では入院して抗がん剤治療をすすめられましたが、本人は入院はイヤだと言います。

私も「抗がん剤はもうこの時期においては・・・」と考えてました。

母は、父のそばから離れるのが心配で辛かったんだと思います。

すべて流れにまかせました。

それから、やはりだんだん調子が悪くなり、とうとう自分から入院すると言ってきました。

かなりしんどかったのでしょう。

でも入院する日の朝まで、這いながらでも、父のおむつを換えてました。

今でも覚えています。

最後の日

入院してからの母は、決まっていたかのように「認知障害」になりました。

夜中になると、家に帰る用意をよくしていたそうです。

そして・・・入院して約1ヶ月目。

最後は、なんの痛みもなく眠るかのようでした。

そして父も・・・

寝たきりの父には、母の病状や入院中のこと(認知障害)など、本当のことは言いませんでした。

そのほうがいいと思ったからです。

でも、父は「まだかな、まだかな」と帰って来るのを楽しみにしていました。

でもその母が、目を閉じた状態で帰ってきたことを、

隣の部屋で寝たきりの父に報告する事は、

こういう日が来るのはわかってはいたのですが・・・

心が張り裂けるほど、すごく悲しく、すごく辛かったのを覚えています。

でも父は、私の何倍も悲しく辛かったことでしょう。

母のことを報告した後、

父は泣きながら、横に寝ている母に「永いことありがとう」と言葉で気持ちを伝えていました。

その後、私たち兄弟にめったに話した事のない昔の母の思い出を話してくれました。

そして・・・

母の死後49日目のことでした。

父は、母のもとへと旅立ったのです。

・・・・・

思うこと・・・

母がガンになってから3年半は、常に前向きな気持ちでやって来ました。

自分ひとりだけじゃなく、妻や弟や多くの方々の支えがあったからこそやってこれたと思います。

ありがとうございます。

両親には色々してあげたかったことは沢山ありましたが、両親に対して自分がさせていただいたことの後悔はしていません。(ガンの宣告のことや、最後まで入院させなかったことなど)

唯一、残念な事はその後に生まれた私の子供2人を見ていただけなかった事です。(合掌)


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