基底細胞がんの治療方法
基底細胞がんは、皮膚がんの中で最も多く約25%を占め、その80~85%は顔にでき、額や目の周りや鼻の周りに多くできるという特徴があります。
基底細胞がんの治療方法は、ほとんどが外科療法のみですが、高齢者の発症が多いため持病の状態などで手術が無理な場合などに特殊なケースとして放射線療法や凍結療法など様々な治療方法が選択的に行われる場合があります。
以下に、日本皮膚科学会の「基底細胞癌の診療アルゴリズム」を参考に作成したフローを掲載します。
* 高リスクの定義
部位 / 腫瘍径 | 高リスク部位(頬・前額以外の顔、外陰、手、足)で6mm以上 |
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中リスク部位(頬、前額、頭、頸部)で10mm以上 | |
低リスク部位(体幹、四肢)で20mm以上 | |
再発歴 | あり |
組織型 | 斑状強皮症型、硬化型、浸潤型、微小結節型 |
神経周囲浸潤 | あり |
外科的切除
基底細胞がんの診察は、ホクロ部分に超音波検査で使われるゼリーを塗ってレンズをあてて状態をチェックする「ダーモストコピー」で行われます。
そして、「超音波(エコー)検査」でがん細胞の横の広がりや深さを確認し、取り残しの無いように切除手術を行います。
がんが小さい場合は切除後自然に治るのを待つ「開放手術」や、しわに沿って縫ってしまう方法が行われ、患部が広い場合は、周囲の皮膚を移動して縫い合わせる「皮弁手術」や「植皮手術」が行われます。
放射線療法
外科的切除後の機能や整容性の低下などの理由で十分な切除断端が確保できない場合や、何らかの理由で手術療法が適応しにくい場合に放射線療法を行うことがあります。
放射線療法には、外部照射または密封小線源治療(内部放射線療法)が行われます。
局所化学療法
基底細胞がんの局所化学療法は、低リスク部位の表在型に限って適応があり、皮膚にクリームまたはローションを外用する方法で行われます。
凍結療法
基底細胞がんの凍結療法は、液体窒素を用いて病変部を凍結しがん細胞を死滅させる方法で、多少の疼痛がありますが、無麻酔で簡単に行うことができる方法です。
皮膚科でイボなどの治療によく用いられますが、基底細胞がんについては、表在型、結節型などの低リスク病変では凍結療法が選択される場合は高い効果が得られています。
掻爬・電気凝固術(C&E)
掻爬・電気凝固術とは、鋭匙(えいひ)という刃状の縁を持つスプーン状の器具で組織を削り取り、さらに電気メスで組織を焼くとともに、止血を行う治療法です。
欧米では基底細胞がんの治療に用いられますが、日本ではほとんど行われていません。
この治療法の対象となる基底細胞がんは低リスク部位の小型で低リスクな表在型、結節型の病変です。
大型で浸潤傾向を示すタイプでは再発の危険性が高いので用いられません。
光線力学的療法(PDT)
光線力学的療法とは、ガンマアミノレブリン酸という物質を病巣部に塗布した後に、レーザー光線を当てて治療します。
表在型の基底細胞がんにはよく効果があり、治療後も傷あとが目立たないので優れた治療法といえます。
しかし、結節型などのように深部にまで病変が進行している場合は、薬剤や光線の透過性などの問題があり十分な効果が期待されません。
lmiquimod外用
lmiquimod(イミキモド)とは、免疫反応を誘導する細胞に結合して活性化させる作用を持つ薬剤です。
5%のクリーム製剤を病変部に塗ることによって皮膚の免疫反応が誘導、亢進され、イボやがんに効果を発揮します。
基底細胞がんについては、特に表在型で高い治療効果が確認されています。
ただし、薬剤の深部への透過性などの問題から、結節型など深部へ増殖する基底細胞がんでは効果が劣るようです。
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がん克服事例
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また重複しますが、「末期がんの事例」と「現在継続中の事例」もピックアップしました。