タンパク質AIMが肝臓がんを抑制
近年、肝臓がんの原因とされるc型肝炎やその他の肝炎の治療方法が進歩し、肝炎から肝臓がんへの進行は減少傾向ですが、それでもまだ癌による死亡原因の第3位が肝臓がんです。
そんな肝臓がんに対する新しい効果的な治療方法が期待できる研究発表が2014年10月に東京大学の宮崎徹教授らにる研究グループからリリースされました。
発表のポイント
- タンパク質 AIM(注1)は細胞中での中性脂肪の蓄積を阻害するメタボリックシンドロームのブレーキとして働く。
- このタンパク質は肝臓の細胞が癌化すると、細胞の表面に蓄積して癌細胞が除去されやすくする作用があることを今回明らかにした。
- 肝臓癌は有効な抗癌剤がなく治療が困難であるが、今回の発見により、AIM を利用した新規かつ安全な肝臓癌の治療法を開発できるようになることが期待される。
(注1) AIM(Apoptosis Inhibitor of Macrophage):当初マクロファージから分泌され、細胞のアポトーシス(細胞死)を抑制する分子として本研究グループが発見したもの。その後の研究で、アポトーシスを抑制する以外にも作用する細胞の種類などの違いによってさまざまな作用があることが明らかになった。
AIMと呼ばれるタンパク質分子は、CD36などの受容体を介した細胞外から細胞内への取り込みによって脂肪細胞や肝細胞に取り込まれ、細胞内で脂肪酸合成酵素(Fatty Acid Synthase; FASN)の活性を阻害することにより、細胞内での中性脂肪の蓄積を抑制し、肥満や脂肪肝の進行を抑制する効果を持つということが同研究グループによって明らかとなっていました。
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東京大学発表資料より
今回の発表では、細胞ががん化するとAIMが細胞に取り込まれるという特徴が失われ、代わりに細胞表面に蓄積するようになることが確認され、がん細胞表面上に蓄積したAIMが体細胞上に発現し補体(注2)による傷害を抑制する複数の補体抑制分子(CD55、CD59、CFH、Curry など)の働きを一様に低下させるため、AIMの蓄積したがん細胞は、補体にとっては体内に侵入した病原菌(菌は補体抑制分子を持たない)と同じように攻撃の対象となり、速やかに細胞死に陥ることが明らかとなったとしています。
ということで、今後は元々体内に存在する物質であるAIMを投与することで、安全性の高い肝細胞がん治療が実現できると期待されています。
安全性が高く治療効果も高いということであれば、一日も早く臨床で実用化されるといいですね。
肝臓で合成され、血液中に大量に存在して免疫反応・感染防御などに関与する 20 種ほどのタンパク質の総称である。通常は抑制タンパク質の働きにより不活性化されており、正常な細胞や組織が補体によって傷害されることはない。何かしらの刺激を受け、かつ抑制タンパク質による不活性化が取り外されるとその活性が増殖し、対象物(病原菌やこの場合は癌細胞など)に対し殺傷性を示す。
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