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がん幹細胞

がん幹細胞」・・・がん細胞の「親玉」というか「黒幕」というか、そんな存在が近年明らかになってきました。

この「がん幹細胞」の発見と急速に進む臨床試験によって、20年後にはがんの5年生存率が80%にまで上がると期待されています。

これまでは、正常な細胞の遺伝子が傷つくとがん細胞に変化し、それが無限に分裂を繰り返して、がんを作ると考えられていました。

しかし、がん幹細胞ががん細胞を生み出し、その後がん細胞だけが急速に分裂を繰り返して一定期間で止まるのですが、がん幹細胞は次々と若いがん細胞を生み出すために、がんが巨大化していくということがわかってきたのです。

ということは、がん幹細胞を死滅させれば、がんの進行も転移も阻止できるのでは?

そう考えて、世界中で研究が進み臨床研究も始まっています。

がん幹細胞の特徴は、

がん幹細胞
  • がん細胞を作る
  • 抗がん剤が効きにくい
  • 分裂が遅い
  • いつ活動を始めるか分からない

などで、特に抗がん剤は通常の分裂の活発ながん細胞に効くように作られており、肝心のがん幹細胞には効かないということもわかってきました。

がん幹細胞は、がん細胞の中に0.1%から1%程度しかなく、抗がん剤ががん細胞を死滅させると、あたかもがんが無くなったように見えていたのです。

しかし、抗がん剤はがん幹細胞には効かないわけですから、しばらくして再発や転移が起ることも多いというわけです。

そこで、このがん幹細胞に効く新しい薬の開発がすすめられているということです。

また、九州大学では、がん幹細胞の分裂のスピードを変えることで、抗がん剤が効くようにできないか研究を進めています。

細胞には細胞の分裂を抑制する「Fbxw7」という遺伝子があります。

がん幹細胞を調べてみると、この遺伝子が活発に働き分裂を抑えていることが分かりました。

この遺伝子の働きを弱めることができれば、分裂しやすくなり、抗がん剤がよく効くようになるのではないかというわけです。

白血病のマウスでの実験では、抗がん剤を投与しただけのマウスは、ほぼ100%白血病を再発しましたが、Fbxw7遺伝子の働きを弱めて、がん幹細胞を分裂しやすくしたマウスは、再発率が20%と、5分の1にまで減らすことができたということです。

今後の進展が期待されますね。

また、意外な薬ががん幹細胞に効くことがわかってきました。

それは、リウマチの治療ですでに使われている薬です。

がん幹細胞の表面には特殊なポンプがあり、このポンプで栄養を吸い込んで外部からのストレスに対抗する力を身につけています。

このポンプの入り口にふたをしてしまえば、がん幹細胞を弱体化できるのではないかと考えられました。

そして、研究者が海外の論文を調べ、ポンプのふたになる物質を探したところ、リウマチの薬にその効果があることが分かったのです。

こちらも、今後の進展が期待されます。

これら以外にも世界中で様々な方法の治験や臨床試験が行われており、早ければ5年、遅くとも10年のうちには、非常に効果的ながん幹細胞を標的とした治療薬が一般に利用できるようになると言われています。

一日でも早く実用化されることを願うばかりですね。


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