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ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)

がんの放射線治療のリスクと言えば、正常細胞へのダメージがあげられ、光子線の「エックス線」や「ガンマ線」などに替わって、粒子線の「陽子線」「中性子線」「重粒子線(炭素イオン)」の利用が広がっています。

粒子線の場合、ある一定の深さで急激にピークとなりそのままエネルギーが停止する「ブラッグピーク」という特徴があり、周辺の正常な細胞の損傷を減らせるためです。

その粒子線を使ったがん治療のひとつとして「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」があります。

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、1968年から悪性脳腫瘍に対する臨床研究が開始され長年研究されてきました。

そして、2014年4月から喉頭がんや舌がんなどの「頭頸部がん」に対する世界初の治験(臨床試験)が川崎医科大京都大原子炉実験所で始まり、早ければ5年程度で薬事法上の承認を受け実用化したいとのことです。

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、点滴でがん細胞にホウ素を取り込ませた後に、弱い中性子線を当てることでホウ素が崩壊して放射線を発し、がん細胞を内側から破壊する仕組みで、放射線が細胞ひとつ分程度しか広がらないため正常な細胞は傷つけにくく、副作用が少ないと期待されています。

また、通常はがん細胞が減るのに1か月ほどかかるところを、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)では、2~3日に短縮できるということです。

特に頭頸部がんでは、手術での切除によって会話や食事に支障が出るリスクを避けるために放射線治療を選ぶことが多いのですが、これまでの方法では正常な細胞も傷つけることによる副作用も懸念されていました。

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の対象となるがんは、「悪性脳腫瘍」などの「頭頚部腫瘍」や「悪性黒色腫」「肝臓がん」などです。

これまでは、病院から遠くの原子炉まで患者さんを搬送する必要がありましたが、今後は病院院設置型加速器BNCTの開発も進み、治療が広がることと期待もされています。


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