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ノーブレーキのがん免疫療法

当サイトでも「がん免疫療法」のカテゴリーを設け様々な種類の免疫療法を紹介し解説していますが、クリニックなどで全額自己負担で行われる場合が多く、医薬品として承認されるまでの効果は科学的に証明されておらず、今のところ公的医療保険が使える免疫療法はありません。

今回紹介する免疫療法は、国内の医薬品会社が2013年末に厚生労働省に医薬品としての承認を申請し2014年秋にも認められる見通しとのことで、早ければ年内にも公的医療保険が使える国内初の免疫療法となる見込みのようです。

そのがん免疫療法で使われ、承認される見込みなのが点滴薬の「ニボルマブ(一般名)」で、まずは既存の治療法で効果がなくなった皮膚がん患者が対象ということです。

ブレーキで攻撃を抑制

これまでのがん免疫療法の効果が限定的で、薬事法に基づく承認を受けたものがない要因のひとつは「免疫の仕組み自体」にありました。

がん細胞をを攻撃するために様々な方法が用いられていますが、本来の免疫の仕組みとして、免疫反応が過剰になると自己免疫疾患が起こるため、それを防ぐために自動的に免疫にブレーキがかかり攻撃が抑制されてしまうのです。

そのブレーキ役を担うたんぱく質として「PD1」や「CTLA4」などがすでに発見されており、これらが免疫が暴走しないように制御していることがわかっています。

免疫の攻撃が始まってしばらくすると、その攻撃を担っている免疫細胞「T細胞」の表面にPD1やCTLA4が出てきて、それがT細胞に指令を出す別の免疫細胞「抗原提示細胞」の表面にある特定のたんぱく質と結合すると、攻撃中止の指令がT細胞に伝わるという仕組みです。

ノーブレーキでがん細胞を攻撃

この免疫にブレーキをかける「PD1」の働きを抑え、攻撃のブレーキを阻止する薬が今春に承認が見込まれる「ニボルマブ」です。

国内の臨床試験では、患者35人の半数のがんが5カ月半以上進行しなかったということで、今後は肺や腎臓、肝臓や胃、血液など多種類のがんに広げることを計画していると発表しています。

米国での予備的な治験では、治療法のない肺がん患者76人の18%、腎臓がん患者33人の33%にがん縮小効果があったとのことです。

しかし、課題は重い副作用とのことで、免疫のブレーキを外すことによって免疫が過剰になり、ニボルマブでは2割近くの患者に腸炎や肝炎など重い副作用が生じたと報告しています。

この副作用を上手くコントロールができるようになれば、今後大きな期待が持てると考えますね。

このような、がん治療の副作用軽減には漢方が役立ちますので、私も動向を注目していきます。


【追記】

国内の製薬メーカー「小野薬品工業」が開発した新薬を厚生労働省が世界に先駆けて承認する方針を決め、2014年9月2日に発売されました。


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