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テロメライシンとがん幹細胞

テロメライシン」とは、岡山大学が開発し同大発のバイオベンチャー「オンコリスバイオファーマ株式会社」で臨床開発が進められている「抗がんウイルス製剤」とのことで、当サイトでも先日「食道がんにテロメライシン」という記事で紹介しました。

また「がん幹細胞」についても、「がん幹細胞」という記事で最近紹介しました。

がん細胞の増殖や転移には「がん幹細胞」が黒幕であることがわかってきており、このがん幹細胞を叩く方法を見つけることががん治療の大きな進歩になるということで、世界中で様々な研究や臨床試験が行われています。

そのひとつしとて「テロメライシン」にも可能性が見えてきたようです。

2013年12月26日の報道によると、

岡山大学は、オンコリスバイオファーマが臨床開発を進める腫瘍融解ウイルス「テロメライシン」が、休眠状態にある細胞周期を回転させることで、効率よく胃がん幹細胞を殺傷することを確認したと発表した。

ということなのです。

がん幹細胞の特徴は、

  • がん細胞を作る
  • 抗がん剤が効きにくい
  • 分裂が遅い
  • いつ活動を始めるか分からない

ということでしたが、テロメライシンを胃がん幹細胞に投与したところ、下の写真のように、がん細胞塊の表面から細胞は黄色や緑に変わり、徐々にがん細胞塊のサイズが減少し、最終的には胃がん幹細胞のスフェロイドが消滅したことを確認したということです。

テロメライシン

この結果について、

テロメライシンが胃がん幹細胞の細胞周期を止めているp53やp21の発現を抑え、細胞周期を回転させるE2F-1の発現を上げることを示すもので、研究グループでは、マウス移植した腫瘍の中心部の休眠状態であったがん細胞も、テロメライシンの投与で細胞周期が回転して効率よく細胞死が誘導されることも確認しており、研究グループでは、細胞周期を検討することでテロメライシンが理論的にがん幹細胞に有効であることを示すものであり、がんの再発を防ぎ、根治を目指した治療戦略の確立に有用であると考えられる。

とコメントしています。

現在国内では、岡山県内在住の80歳代の女性が臨床研究としてテロメライシンの投与を受けており、2014年4月以降にはその評価がわかる見込みということで、期待したいですね。


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