口腔がんの治療方法
口腔がんの治療は、「手術治療」「抗がん剤治療(化学療法)」「放射線治療」を単独か、あるいは組み合わせて治療が行われます。
がんができる場所やがんの進行や広がりによって、同じ口の中でも治療方法は異なってきます。
食べものをかんだり飲み込んだり、声を出す機能や見た目も考慮し、患者の生活の質を保つよう治療計画が立てられます。
以下に、日本癌治療学会の「口腔癌診療アルゴリズム」を転載します。
手術治療
原発巣手術
口腔がんが発生している部分を「原発巣」といい、この病巣部分を手術で取り除く方法が原発巣手術です。
確実にがん病巣を取り除くため、その周りの正常な組織を含めて切除が行われます。
頸部郭清術(けいぶかくせいじゅつ)
口腔がんが、頸部(首)のリンパ節へ転移してしまった場合や、転移の疑いがある場合に行われる手術です。
頸部には数十個のリンパ節があるため、がんが転移したリンパ節だけを取り除くのではなく、周囲のリンパ節や脂肪組織、神経や血管、筋肉も同時に切除します。
再建術
手術によって取り除かれた部分を、身体のほかの組織や金属などの人工材料を用いて修復・再建する治療法です。
身体の組織では腕や足、胸やおなかの皮膚、脂肪や筋肉、腰や足の骨などが用いられます。
抗がん剤治療(化学療法)
文字通り、抗がん剤の点滴や経口服用によって、がん細胞を破壊する治療方法です。
抗がん剤治療(化学療法)が行われるのは下記のような場合です。
- 手術前にがんを小さくする場合
- 手術後にがんが再発しないよう予防目的で行う場合
- 手術ができないほどがんが広がっている場合
- 微小転移の治療目的として
抗がん剤治療は正常な細胞にダメージを与えることもあり、以下のような副作用が見られる場合があります。
- 食欲の低下
- 吐き気・嘔吐
- 下痢
- 口内炎
- 倦怠感
- 脱毛
- 皮膚炎、じんましん
- 免疫力が低下による感染症
副作用予防のために、治療するときには吐き気止めの薬を使用したり、手洗い・うがいをして感染を予防するなどの対策がとられています。
放射線治療
放射線治療は、高いエネルギーの放射線を照射してがん細胞を破壊する治療法です。
口腔がんで放射線治療が行われるのは下記のような場合です。
- 放射線治療を単独で行いがんを死滅させる「根治療法」として
- 手術前に腫瘍を小さくして切除範囲を小さくする「術前療法」として
- 手術後にがんの再発を防ぐために行う「術後療法」として
- 症状を和らげたり患者さんの生活の質を上げるために行う「緩和的・姑息的治療」として
放射線の照射方法としては、体の外から放射線を照射する「外部照射」と、腫瘍やその周囲に直接小さな線源を入れて行う「小線源治療法」があります。
小線源治療法は、比較的小さな舌がんや頬粘膜がん、口底がんで頸部リンパ節転移がない場合が治療対象となります。
放射線治療では、以下のようなの副作用があります。
- 治療中の副作用
- 放射線照射部位の皮膚が赤くなり炎症を起こす
- 放射線照射後の口中の火傷のような粘膜炎症状
- 味覚低下
- 治療後にも発生する副作用
- 唾液の分泌が低下し口の中が乾燥
- 顎の骨が壊死を起こす場合あり
- 筋肉が硬くなることで口が開けにくくなる場合あり
化学放射線療法
「化学放射線療法」は、抗がん剤の化学療法と放射線治療を併行して行う治療法のことです。
放射線治療の効果を増強するはたらきがある抗がん剤を併用することで、より高い効果を得ることができると考えられていますが、強い副作用が現れる場合があります。
口腔がんでは進行がんに対して術前に化学放射線療法を行い、手術を行う場合があります。
また、術後再発の危険の高い場合に行われる化学放射線療法は再発を抑え生存率を向上させる効果があります。
支持療法・緩和ケア
がんに伴う症状や、治療による副作用を軽減させるために行われる治療です。
また、再発や進行がんで治療が困難な場合や他の臓器や全身にがんが広がっている場合には、からだに負担のかかる手術や放射線、抗がん剤による治療ではなく、患者の様々な症状を取り除くことで生活の質を重視した治療を行います。
特に、激しい痛みは患者の生活の質を大きく低下させるため、痛み止めとして鎮痛薬や医療用麻薬が使われますが、適切に用いれば薬物依存になることはありません。
ご自身やご家族やお知り合いが「がん克服」を模索しておられるようでしたら、ぜひ一度ご相談ください。長年の経験と実績を基にお役に立てるはずです。
がん克服事例
私が実際に受けてきた相談事例をご紹介しています。
また重複しますが、「末期がんの事例」と「現在継続中の事例」もピックアップしました。