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動き出した再生医療

2013年4月26日に、

「再生医療推進法」(再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律)が成立し、

2013年11月20日に、

「再生医療法」(再生医療等の安全性の確保等に関する法律)が成立し、同時に薬事法も改正されました。

山中教授のiPS細胞の発見や世界中で急激に進歩している免疫療法などに迅速かつ安全に対応するために作られた法律だと考えられます。

再生医療法の対象となる「再生医療等技術」は、リスクの高い順に第一種、第二種、第三種と以下のように3種類に分けられています。

分類 定義
第一種再生医療等技術 人の生命及び健康に与える影響が明らかでない又は相当の注意をしても人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして厚生労働省令で定める再生医療等技術 iPS細胞やES細胞由来製品を用いた再生医療(遺伝子導入リンパ球を用いた各種がん治療、自己脂肪幹細胞を用いた腎疾患治療等)
第二種再生医療等技術 相当の注意をしても人の生命及び健康に影響を与えるおそれがあるものとして厚生労働省令で定める再生医療等技術 自己脂肪幹細胞を用いた豊胸術、再建術等
第三種再生医療等技術 第一種・第二種再生医療等技術以外の再生医療等技術 活性化リンパ球を用いた従来の各種癌治療

同時に成立した改正薬事法では、企業等が医療機関から提供を受けた細胞などを加工して提供する流れも規制して安全を確保するとしています。

現在では、自由診療として各医療機関が独自に進めている様々な免疫療法も法律施行後は対象となるわけです。

規制は安全につながるものとして基本賛成ですが、新しい治療方法が迅速に臨床適用されることも大切だと考えます。

その点について、この法律では「再生医療等製品に対する早期承認制度」が盛り込まれました。

これまで承認までに長い期間を必要としていた有効性と安全性の確認のための「治験」を短期間とし、条件と期限付きで早期に承認し、市販後に継続して有効性と安全性を検証して期限内に再度承認申請を義務付けるという流れを導入しています。

これにより、新しい効果の期待できる治療が早く受けられるようになると期待しています。

TCR遺伝子治療

直近の実例として、タカラバイオ株式会社が「TCR遺伝子治療」の治験計画届を2014年2月5日付けで医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出しました。

TCR遺伝子治療法は、がん患者から採取したリンパ球に遺伝子を導入して患者に戻し、その遺伝子改変されたリンパ球が、がん細胞を特異的に認識して攻撃し消滅させることを目指す新しいタイプのがん治療法です。

そして、8年後の2021年度の商業化を目標とすると発表していますが、早期承認制度の利用を積極的に検討すると、より早期の実現も含ませています。

法律の規制と緩和によって、安全と迅速な対応が患者の利益となることを第一に、運用されていくことを切に願いますね。


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