大腸がんの再発予防
「がんの再発」とは、手術などの治療では結果的にうまく取りきれておらず、発見できずに残っていたがん細胞が再び大きくなり、同じがんが出現することです。
また、別の場所にがんが見つかる「転移」も含めて再発といいます。
転移には、原発巣からがん細胞が血管やリンパに入り込み、その流れに乗って別の臓器や器官に移動し大きくなる「血行性転移」や「リンパ行性転移」と、がん細胞が臓器の壁を突き破って広がる「播種性(はしゅせい)転移」があります。
大腸がんの再発は術後1年くらいが最も多く、再発の83%は術後3年までに起きており、再発をできる限り防ぐために、手術の後に抗がん剤を使用する治療「術後補助化学療法(アジュバント療法)」を手術直後からしっかり行う必要があります。
術後補助化学療法を推奨されるのは、再発の可能性が高いとされるステージⅢの場合ですが、ステージⅡであっても、再発の可能性が高いと判断される場合には術後補助化学療法を行ったほうがよいと考えられるようになってきました。
術後補助化学療法は、手術後8週までに開始するのが望ましいとされており、治療期間は6カ月間です。
また、術後補助化学療法しても再発をゼロにすることは今のところ不可能ですので、再発を早期に発見し治療を開始するためには、大腸がん再発のほとんどが起こる手術の後5年間は、定期的に通院し検査を行うことが大切です。
大腸がんの再発率
大腸がんの生存率については、公益財団法人がん研究振興財団の「がんの統計」などでステージ別の5年生存率などの統計が公表されていますが、再発率については統一したデータは見当たりません。
しかし、5年生存率の見方を変えれば再発率の目安と考えられます。
公益財団法人がん研究振興財団の「がんの統計 ’14」掲載の「全国がん(成人病)センター協議会加盟施設における5年生存率」によると、大腸がんの結腸がんと直腸がんに分けたステージ別5年生存率1)は以下の通りです。
結腸がんのステージ別5年生存率
結腸がんのステージ | 全症例 男女計 | 手術症例のみ 男女計 | ||
---|---|---|---|---|
5年実測生存率2) | 5年相対生存率3) | 5年実測生存率 | 5年相対生存率 | |
ステージⅠ | 89.3% | 99.9% | 90.1% | 100.0% |
ステージⅡ | 82.1% | 93.0% | 82.2% | 96.4% |
ステージⅢ | 76.6% | 85.9% | 77.1% | 88.9% |
ステージⅣ | 16.5% | 18.3% | 21.1% | 24.0% |
計 | 68.9% | 77.1% | 73.3% | 84.5% |
直腸がんのステージ別5年生存率
直腸がんのステージ | 全症例 男女計 | 手術症例のみ 男女計 | ||
---|---|---|---|---|
5年実測生存率2) | 5年相対生存率3) | 5年実測生存率 | 5年相対生存率 | |
ステージⅠ | 89.1% | 97.4% | 89.6% | 100.0% |
ステージⅡ | 82.3% | 90.9% | 83.1% | 93.7% |
ステージⅢ | 68.8% | 75.4% | 69.9% | 78.1% |
ステージⅣ | 20.8% | 22.6% | 25.0% | 27.4% |
計 | 70.4% | 77.0% | 73.8% | 82.4% |
- 5年生存率とは、治療を受けた人のうち5年後に生存している比率
- 生存率には「実測生存率」と「相対生存率」があり、実測生存率とは、死因に関係なく全ての死亡を計算に含めた生存率で、この中にはがん以外の死因による死亡も含まれます。
- 相対生存率とは、対象者と同じ特性(性、年齢、暦年、地域など)をもつ一般集団の期待生存確率より期待生存率を算出して、実測生存率をそれで除することによって、その影響を補正する方法です。
実測生存率、相対生存率ともに死因はがんだけとは限りませんから、大雑把ではありますが100%から生存率を引いた値が再発率に近いと推測できます。
大腸がんの再発予防
この記事にたどり着いた多くの方は、ご自身やご家族、ご友人などが大腸がんの治療を終えられ、再発がないことを願うお気持ちでご覧になっていることと思います。
運悪く大腸がんを発症し辛い治療を受けられて、もう二度とがんになりたくない、なってほしくないと痛感されているでしょう。
前記のように、統計では進行度によって再発のリスクは大きく違っています。
しかし、あきらめないでください!
患者さんがどのステージであったとしても、まずは立ち向かう気持ちをご自身もまわりも強く持ってください。
そこからスタートです。
がんが発症したのは、がんが出来やすく住みやすい体になってしまっていたからで、体を根本的に変えない限り、再発のリスクは統計通りでしょう。
しかし、逆にがんの住みにくい体にしていけば、再発のリスクは小さくなります。
そためには、体全体で治していく力、恒常性を活かし、身体全体の潤いが必須なのです。
具体的には、患者さん個々の状況によって様々ですので、一度お気軽にご相談してみてください。
ご自身やご家族やお知り合いが「がん克服」を模索しておられるようでしたら、ぜひ一度ご相談ください。長年の経験と実績を基にお役に立てるはずです。
がん克服事例
私が実際に受けてきた相談事例をご紹介しています。
また重複しますが、「末期がんの事例」と「現在継続中の事例」もピックアップしました。