iPS細胞活用のがん免疫療法
iPS細胞は、京都大学の山中伸弥教授が2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞して広く知られ、幹細胞と同様に増殖して各種の細胞へと分化することが可能な細胞であり、今後の医療などの様々な応用に期待が寄せられています。
そして先日の報道では、
熊本大学の千住覚准教授らは、iPS細胞を使ったがん免疫療法を開発した。
膵臓がんや胃がんの治療を想定したマウスの実験で、がんの進行を抑える効果を確認した。
2016年を目標に医師主導の臨床試験(治験)を開始する。
十分な治療効果を発揮するのが技術的に難しいがん免疫療法だが、iPS細胞の活用が臨床応用に弾みをつける可能性がある。
とのことです。
がん免疫療法とは、人間が本来持つ自然治癒力である「免疫力」を利用してがん細胞を攻撃し死滅させようという療法で、近年その研究は盛んになり、2013年の米科学誌サイエンスが発表する「今年の科学10大ニュース」で、免疫細胞にがん細胞を攻撃させる「がん免疫療法の進歩」が1位となりました。
この熊本大学の研究チームは、がん細胞に集まりやすい性質を持つ免疫細胞「マクロファージ」をヒトのiPS細胞から大量に作り、抗がん剤の運び役として使う「薬剤送達システム(DDS)」という治療法を開発したということです。
具体的には、「cMyc」と「BM11」という2種類の遺伝子をヒトiPS細胞に導入することにより、マクロファージを量産できるようにし、さらに別の遺伝子を追加して抗がん作用があるたんぱく質「インターフェロンβ」を分泌させる機能を持たせたとのこと。
がんに罹ると、体内にあるマクロファージががん細胞が作り出すたんぱく質を感知して集まり捕食するのですが、がんが大きくなると免疫を抑制し、マクロファージの攻撃力も弱まるのです。
このように、治療としての効果を引き出すには膨大な量のマクロファージが必要で、増殖力にたけたiPS細胞の活用によって道が開けたということです。
マウスの実験によると、胃がんのマウスでは注射して約1カ月後もがんは大きくならず、進行を抑制する効果を確認し、膵臓がんのマウスでは治療効果がより顕著で、がん細胞がほぼなくなるケースもあったとのことです。
当サイトでも様々な「がん免疫療法」を紹介していますが、iPS細胞を利用した治療方法は今後も様々なものが開発されることと推測し期待しています。
ご自身やご家族やお知り合いが「がん克服」を模索しておられるようでしたら、ぜひ一度ご相談ください。長年の経験と実績を基にお役に立てるはずです。
がん克服事例
私が実際に受けてきた相談事例をご紹介しています。
また重複しますが、「末期がんの事例」と「現在継続中の事例」もピックアップしました。