がんサイトカイン療法
がんの治療法には「手術療法」「化学療法」「放射線療法」が主にありますが、近年世界中で研究が盛んになっている「免疫療法」が第4の治療法として期待されています。
本項では、その「免疫療法」の中から「サイトカイン療法」について解説いたします。
がんサイトカイン療法とは
まず「サイトカイン」とはどんなものなのでしょうか?
サイトカインとは
サイトカインは様々な細胞同士の情報を伝達する分子で、細胞から放出されます。
サイトカインは分子量が8万~3万以下の低分子タンパク質で糖鎖を持つものが多く、その働きは、主には免疫や炎症に関係したものですが、細胞の増殖や分化、細胞死や創傷治癒など多様な情報伝達を担います。
情報伝達物質ということでは「ホルモン」と似ていますが、ホルモンは臓器が分泌するものとして通常は区別されています。
また、リンパ球に由来するサイトカインを、リンフォカイン(lymphokine)という場合が多いようです。
サイトカインの種類
サイトカインはすでに数百種類が発見され今も発見が続いている。機能的には次のように分けられる(ただし重複するものも多い)。
- インターロイキン(IL)
- 白血球が分泌し免疫系の調節に機能し、現在30種以上が知られる。
同様に免疫系調節に関与するもので、リンパ球が分泌するものをリンフォカインという。
また単球やマクロファージが分泌するものをモノカインということもある。 - ケモカイン(chemokine)
- 白血球の遊走を誘導する。
- インターフェロン(IFN)
- ウイルス増殖阻止や細胞増殖抑制の機能を持ち、免疫系でも重要である。
- 造血因子
- 血球の分化・増殖を促進する。
コロニー刺激因子(CSF:マクロファージを刺激)
顆粒球コロニー刺激因子(CSF)
エリスロポエチン(EPO:赤血球を刺激)などがある。 - 細胞増殖因子
- 特定の細胞に対して増殖を促進する。
上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、肝細胞成長因子(HGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)などがある。 - 細胞傷害因子
- 腫瘍壊死因子(TNF-α)やリンフォトキシン(TNF-β)など、細胞にアポトーシスを誘発する。
これらは構造的にも互いに類似しTNFスーパーファミリーと呼ばれる。 - アディポカイン
- 脂肪組織から分泌されるレプチン、TNF-αなどで、食欲や脂質代謝の調節に関わる。
- 神経栄養因子
- 神経成長因子(NGF)など、神経細胞の成長を促進する。
インターロイキン2(IL-2)によるサイトカイン療法
インターロイキン2(IL-2)は、T細胞を増殖させる物質として発見されましたが、現在ではナチュラルキラー細胞(NK細胞)ががん細胞を破壊する作用を強めることがわかっており、IL-2によるがん治療が行われてきました。
患者に直接IL-2を投与してがん細胞を殺傷する作用を活性化させようとする方法と、患者のリンパ球を生体外でIL-2とともに培養して、がん細胞を殺傷する能力のあるLAK細胞を誘導して体内に戻す方法(LAK療法)があります。
インターフェロン(IFN)によるサイトカイン療法
インターフェロン(IFN)はウイルスに感染した細胞が産生する物質で、ウイルス増殖抑制因子として発見されました。
IFNにはα、β、γの3種類があり、作用としては直接がんに作用する場合と免疫担当細胞を介した間接作用があります。
IFN-αの効果については、特に慢性骨髄性白血病に対して有効だという結果が得られ注目されていますが、その他のがんについては効果が弱く化学療法との併用が検討されています。
腫瘍壊死因子(TNF)によるサイトカイン療法
腫瘍壊死因子(TNF)は主にマクロファージにより産生され、がんに出血性壊死を起こさせたり、がん細胞に直接的に働いて殺傷するなどの作用があります。
動物実験ではTNFを投与すると短期間でがんが縮小するため、抗がん効果のあるサイトカインとして臨床応用が注目されましたが、全身投与による発熱や血圧低下等の重篤な副作用のために有効な量を投与できず、臨床応用は進んでいない状況です。
インターロイキン12(IL-12)によるサイトカイン療法
インターロイキン12(IL-12)は活性化した単球や樹状細胞からつくられ、がん細胞を殺傷するような免疫反応を誘導するのに重要であることが報告され、注目されています。
IL-12はNK細胞やキラーT細胞の増殖を促したりがん細胞を殺傷する能力を高め、マウスではがんの転移抑制や移植がんの縮小等、劇的な効果が認められています。
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