腎臓がんの治療方法
腎臓がんの治療は外科療法が主となり、進行状況(TMN分類)によって腎臓の一部を切除する場合や、がんのある腎臓を周りの脂肪も含めて全部摘出する場合、また関連するリンパ節まで含めて切除する場合があります。
また、腎臓がんから肺や骨に転移があっても、腎臓の外科的摘出が考慮される場合があります。
その理由としては、
- 腎臓を摘出する手術が他のがんの手術と比べてそれほど身体にダメージがない
- 腎臓摘出後、転移巣に対しては免疫療法や外科療法などを行うことで治癒したりがんの進行が抑えられる
- がんをそのままにしていると、次第に出血や腹痛、発熱や貧血などが発生して生活の質が低下する
などが挙げられます。
以下に、日本泌尿器科学会の「腎癌診療ガイドライン2011年版」を参考に作成したフローを掲載します。
*2 癌細胞の根治を目的とした腎摘除術(根治的腎摘除術):腎動静脈を処理し、腎周囲脂肪組織と一塊に腎および副腎を摘除
*3 原発巣を摘除し腫瘍細胞を減少させ、免疫の賦活化を期待する腎摘除術
手術
腎臓がんの治療では「手術」が基本となります。
腎臓がんの手術の方法としては「開腹手術」「腹腔鏡手術」「腹腔鏡下小切開手術(ミニマム創内視鏡下手術)」の3つがあります。
また、リンパ節転移や遠隔転移がなく(N0 M0)、がんの最大径が4㎝以下(T1a)の場合は、がん部分と周囲の正常部分を少し含めて切除する「部分切除」が主体となっています。
最近では、がんの大きさが4㎝を超える場合でも腎臓の被膜を超えていない場合には部分切除も検討されるようになってきました。
開腹手術
腎臓がんの開腹手術は、腹部を20~30㎝程度切開するため患者の体への負担は大きく、術後の痛みや入院期間が長いというデメリットがありますが、特に部分切除では腹腔鏡手術などでは技術的なリスクもあり開腹手術を選択する場合も未だに多いようです。
腹腔鏡手術
腹腔鏡手術は、腹部に7~10mm程度の穴を3~4か所あけて内視鏡や手術器具を挿入し炭酸ガスを注入して膨らまして内視鏡からの画像を見ながら行われる手術です。
大きなメリットは、傷跡が小さく痛みも少なく、手術翌日には動き回れるほど体にやさしい手術だという点です。
しかし、繊細で迅速な操作が必要な腎臓がんの部分切除では、術者の技量に大きな差がでやすく、慎重に選択される必要があります。
腹腔鏡下小切開手術
腹腔鏡下小切開手術は、腎臓がある腹部に3~5㎝程度の切開を1か所のみ行い、そこから内視鏡や手術器具を挿入し、拡大されたモニター画像と肉眼での患部確認を併行して行われます。
炭酸ガスを注入しないので、稀に起こるガス塞栓などのリスクがなく、小さな傷が1か所だけですし腹膜を傷つけないので術後の内臓癒着のリスクもないというメリットがあります。
その他に患者にも術者にもやさしい「ロボット手術」が行われる施設もありますが、腎臓がんの手術ではまだ自由診療のため経済的な負担が大きいという難点があります。
免疫療法
腎臓がんでは抗がん剤の治療効果はほとんど期待できず、腫瘍が多発したり転移している場合は、免疫療法が主体となります。
免疫療法では、インターフェロンやインターロイキン2という薬を点滴したり、注射したりします。
最近では、個々の患者さんの腎がん組織よりワクチンを作成し、これを体内に戻す「遺伝子治療」や免疫反応に重要な役割を果たす樹状細胞を用いた治療法、さらには移植片対宿主を利用した移植療法などが一部の施設で行われていますが、これらの先端医療は、まだ実験的な段階にあります。
近年、分子標的治療が登場して腎がんに対してインターフェロンを上回る効果が認められる治療薬も開発されています。
分子標的薬
分子標的薬とは、がんの増殖に関係する因子を阻害するという考えで開発された薬剤で、日本では「スニチニブ(商品名スーテント)」と「ソラフェニブ(商品名ネクサバール)」「テムシロリムス(商品名トーリセル)」と「エベロリムス(商品名アフィニトール)」が認可されています。
腎臓がんでは進行がんの場合に、術前治療として選択されることがあります。
腎動脈塞栓術
腎動脈塞栓術は、腎動脈を人工的に閉塞させてがんに血液が流れ込まないようにする治療です。
血液が流れ込まないことにより、がんに栄養を与えなくしてがんの発育を抑制します。
この方法は腎摘出が不可能な場合や、大きな腫瘍を摘出する場合に手術に先立ち行われます。
局所療法
腎臓がんでは機能をできる限り残すことを優先し、がんが4㎝までであれば手術も部分切除が基本的に行われています。
しかし、全身状態が悪くて麻酔がかけられないとか、どうしても手術を受けたくないなど様々な理由で手術を受けられない場合には「局所療法」という選択があります。
凍結療法
凍結療法とは、がんを凍結させて溶かすことを繰り返してがん細胞を死滅させる方法で、4㎝以下の腎臓がんでは健康保険の適用となっています。
エコーやCT、MRIの画像で腎臓がんの位置を確認しながら、注射針のような直径1.5mm程度のプロープを背中からがんの中心に向けて刺し、アルゴンガスを注入して凍結させヘリウムガスで溶かし、再度アルゴンガスで凍結させます。
ラジオ波焼灼療法
治療方法としては凍結治療法と同じく局所麻酔で背中から針をがんに刺します。
そして、がんの中心に針が入ったところで通電し、AMラジオ並みの高周波で患部を70~100℃にしてがんを焼灼します。
ご自身やご家族やお知り合いが「がん克服」を模索しておられるようでしたら、ぜひ一度ご相談ください。長年の経験と実績を基にお役に立てるはずです。
がん克服事例
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また重複しますが、「末期がんの事例」と「現在継続中の事例」もピックアップしました。
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